キツネと星

端末の発達によって
紙でなければいけない本が
どんどん減っていくような気がする。

そういう風潮のあえて逆をいく
何とも贅沢な装幀の絵本だ。
大きな利益を出そうと思ったら
こういうものは作れないと思うが
壁紙やラッピングペーパーにしたくなるデザインは
既に商品化されているのかも。

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# by camel-40 | 2018-04-19 15:24 | 読書

我らがパラダイス

久々に長い小説を一気読みした。
批判の多い犯罪まがいのドタバタなエンディングは
現実にはありえないと分かって書かれているのだろう。
どれほど名誉とカネがあっても
世の中から必要とされなければ人生は空しいのだ
という声ならぬ声が聞こえるようだった。

人間はとことん追いつめられれば何だってやる。
持たざる者も何とかして生きていかねばならない。
ネチネチ糾弾される兄嫁だって高卒と蔑まれなければ
できちゃった婚に賭けて婚家先を乗っ取ろうとはしなかっただろう。

男というだけで甘やかされる息子たちの末路は暗い。
学生運動のリーダーが超高級老人ホームにいるのは
口ばかりだった団塊の世代への嫌味か。


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# by camel-40 | 2018-04-09 22:00 | 読書

翻訳百景

『ダ・ヴィンチ・コード』の訳者のブログから新書。
古典にしろ新作にしろ
私は驚くほど有名な作品を読んでいない。
この先どんな助けになるか分からないが
時間が限られているのだから
質の高い作品を読まねば。
訳出や辞書、解説書で役に立つ情報あり。

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# by camel-40 | 2018-04-05 14:42 | 読書

自分のことばで歩く

元夫の十三回忌には少し早かったし
元姑と同じように郵送で済ませてもよかったが
彼のライブに合わせて6年ぶりにかの地に向かった。
知名度に比べるとびっくりするほど小さいハコだった。

彼のステージを観たのは
離婚調停が終わって間もなくくらいだから
ずいぶん前のことになる。
そのときはバンドを従えたホール公演だったし
まだ独身だった友達と一緒だった。
今回は打ち込みが多少あるものの
基本的にはギター一本。
2時間のスタンディングを一人で持ちこたえるのは
なかなかに厳しい。

彼のCDを買わなくなって久しい。
大手の事務所を辞めて独立した後
小回りのきく事務所に入りなおした頃に
思い立って過去に遡って集めてみたが
どれもいちど聴いたかどうかくらいだ。

ライブに向けて曲の予習(復習)はしなかった。
生の声を聞いて判断したかったからだ。

結論からいうと
彼のことばが再び心の奥深く刺さることはなかった。
知っている曲もそうでない曲も。
歌を前面に出したはずのステージだったが
長引くツアーで体調もすぐれなかったのか
たまに声がかすれることもあった。
その代わり演奏のテクニックが
予想以上に素晴らしいことを知った。

たぶん私は分かっていたんだと思う。
ほぼ同世代の彼のことばに支えられるには
あまりにも歳をとりすぎ
多くのことを経験してしまったことを。
私はもう自分のことばで足元を踏みしめながら
一歩一歩前に進むしかないのだ。
それを自分に言いきかせるためだけにでも
会場に足を運んでよかったと思う。

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# by camel-40 | 2018-04-04 22:00 | 音楽/映像

母・娘・祖母が共存するために

団塊とそのジュニアを中心として論じられているので
一回り前の世代に当てはまらない部分があるとすれば
親は「男女平等」とは思っていなかったことだ。
進学校に行き大企業に勤めるのは自活するためではなく
良い条件の結婚相手を見つけるためと知ったのは
割と最近だったような気がする。

世代が違えども
真綿のように母親にからめとられる息苦しさは
既視感があって辛くもあったが
きちんと言語化されることで救われたところもある。
解決方法は月並みのようでもあるが
罪悪感から解放されれば後はトレーニングだけかもしれない。




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# by camel-40 | 2018-04-03 00:09 | 読書

東京タラレバ娘

薬局の待合室に話題作の1巻目だけが揃っていて
続きが気になってまとめ買いした。

30過ぎたら妥協できなくなると分かっていた自分は
33で独身でいる不安を知らない。
自分か実家に経済力があって魅力的な女は
きっとゴロゴロいそうだ。

今さら読者の人生相談は読む気にならないのでパス。
最後の二巻のストーリーが雑で残念だが
たぶん結末を楽しむ作品ではないのだろう。



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# by camel-40 | 2018-04-02 23:20 | 読書

ウズタマ

序章が怖すぎてどんなサスペンスかと身構えたが
種明かしは割と早いうちにくるし
エンディングはひと言でディズニーかな。
書評のあらすじとは全然違うのだけどわざとか。

この世から家族が誰もいなくなる日が近づくと
音のないところで眠れなくなる、という設定は
きちんと取材したものかもしれないが
育児ノイローゼになった母親や
新しい家庭をつくった母親の書き込みがちょっと薄い。

並行して似たような小説を読んでいるが
とにかく行間がつまっているというか
余韻とか他の解釈を許さない作品が増えたのだろうか。
しっかり泣いた奴に言う資格はないかもだけど。

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# by camel-40 | 2018-03-29 23:02 | 読書

もう無理

次女がカウンセリングもバイトも行かなかった日
もうお手上げだと思った。

彼氏や友達と夜遅くまで会った日はたいてい過食する。
そして翌日のスケジュール(主にバイト)は破たんする。
バイトの日数を減らしても同じだ。
ハードルを下げれば下げるほど出来ることが減る。

バイトを減らすことで行き切れてしまい
やめる踏ん切りがつかないから休むくらいなら
行けても辞めると決めてしまえばいいのに。
障碍者として職業訓練をうけて就職する踏ん切りもつかない。

私は勝手な母親だし
それはいくら甘えても変わらないから
早く離れるように言った。
本当は「毒親」と言いたかったが
本心でないと思われると困るので言わなかった。

長女はバイト仲間に勤務開始直前にすっぽかされ
人手が足りない現場で指示をされてキレて帰って来た。
仕事用の靴をゴミ箱に捨てて。
おそらく彼女が傷ついているのは
自分を忘れて別の約束を入れた仲間の行動だ。
そいつが世間ではそこそこ名の知れた大学で
しかも公務員に内定していることが火に油を注いだのだろう。

怒りにまかせて
休むときは云々という長文をLINEに送って退会しようとしたのを止めた。
言っていることは100%正しいが
それを送ろうとした動機はそこにないからだ。

次女の病気があるので
うちにはすぐに食べられるものがない。
外で食事を済ませると言われて食べずに戻れば
支度をするのに時間がかかるのはやむを得ないが
つくった後に「いらない」と言われた。

翌日は就職先の研修があるのになかなか起きてこない。
何度か起こしに行ったら
「自分だけがちゃんとするようプレッシャーかけられる」
と暴れられた。
「全部自分で決めて一人でやってきた。何もしてもらっていない」
...いつものパターンだ。
時代も状況も違うから単純に比較はできないが
自分がかけてもらった十倍もてま暇かけてこのザマだ。

「仕事なんかしたくない」なら辞めればよい。
次女のように一日中ぐだぐだテレビを観て寝ていればいい。
見栄っ張りで寂しがり屋な彼氏が面倒みてくれるならみてもらえばいい。

もう無理。
母が死ぬのを待たずに先に逝こうか。
保証人は弟がやればいい...
ぎっくり腰の痛みさえ耐えられないくせに
投げやりなことを考えてみる。

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# by camel-40 | 2018-03-28 10:09 | 家族/日常

中国が愛を知ったころ

中国の小説は面白い。
半径数十メートルのことを描いていても
スケールが大きくて色彩豊かだ。

周囲で評判が良かった短編集も
細々とした身の回りを淡々と描いているようで
急激な思想の転換で台頭した成金趣味の付け刃ぶりが
過不足なくあらわになっている。
こんな魅力的な人が一夫多妻にからめとられるなんて
やっぱり男は古今東西ゲスだとひとり憤る。

凸凹なく平らに敷かれたタイルのような整頓された翻訳には
もはや嫉妬する気力も起きない。
この世界から完全に去るか
一片ずつ地道に均していくしかないのだ。

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# by camel-40 | 2018-03-22 15:03 | 読書

君たちはどう生きるか

新聞の宣伝につられて買ってみた。
手紙の部分が長くて途中からマンガだけ読んだ。
全てマンガで表現してこそ意味があると思うので
そこは手抜きのように感じられた。

片親であっても主人公の家は
叔父さんまで居候させられるほど経済的余裕がある。
上級生から友達を守れなかった罪悪感で
熱を出して何日も学校を休んだり
無職でぶらぶらしている叔父さんが
きょうだいの面倒をみながら家業を手伝うために
学校を休まざるを得ない友達について
「尊い」とか「馬鹿にするな」と口にするのは
甘ちゃんの上から目線にしか思えない。

これがベストセラーになる世の中というのは
円周率を3ということにして理解を促そうとする態度に通じる。
顎がつかれるまで噛まないと味のわからないものを排すれば
為政者の恣意に簡単に踊る社会に近づいていくだろう。

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# by camel-40 | 2018-03-07 10:13 | 読書

ほしかったもの

国家試験を受けに行く長女を送り出したあと
思いきって目覚ましをかけずに二度寝したら昼過ぎだった。
次女が家を出た気配にも気づかなかった。

わかりやすい意地悪ばあさんがいない日でも
次女はバイトを休みがちになっていた。
彼氏や友達と遊びにいったり
たっぷり話を聞いてやった翌日は
必ずといっていいほど起きられない。
楽しいことが現実逃避を後押ししているようだ。
逃げるだけ逃げて観念する日を黙って待つべきなのか
親としては判断に迷う。

医者には「バイト先に迷惑をかけるくらいなら辞めて
障碍者として職業訓練を受けて就職しろ」と言われている。
基本的にヒマな職場ではあるが
どうしても頭数が要るときもあり
そういう日さえも出勤できないとなると
やはり「迷惑をかけている」ことになるのかなと思う。

進級できるかどうかの瀬戸際で看護士に
「もし留年しても本人の責任」と言われたことを思い出し
バイト先からの最後通牒を待ってもいいかと思っていたところ
次女は現在行けている日数まで出勤日を減らすことに決めた。
それでいけるようであれば
職業訓練と並行していくという。

色々決めた矢先にカウンセリングまでキャンセルすることになり
目標を高く設定する癖をコントロールできるといいなと思っていたところ
思い立って母のいる施設に行ってきたというので驚いた。
最後に会ってからちょうど一年くらいだと思う。

母は次女の状況を相変わらず「我儘」と思っているので
いらんことを言われていないかひやひやしたが
次女は調子のいいときは驚くほどの強さを発揮する。
おそらく母は「訓練」のつもりで和菓子をよこしたが
せっかく頑張って食べずに持ち帰ったので
3人揃うまでしまっておくことを告げる。

母は次女に「親バカかもしれないけど
お母さん(私)はよくやっていると思う」と言ったらしい。
私に伝えようと思ったかどうかは分からないが
涙が出そうになった。

長女の試験日の前日には
どうしても行きたかったライブに行った。
さすがに本当のことは言えなかったが
家にくすぶったところで私にできることはない。
当日も予定どおりバンドの練習に出かけて
いつもどおり一杯だけ飲んで雑談して帰宅した。

大丈夫だ。
何も起きはしない。

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# by camel-40 | 2018-03-05 12:15 | 家族/日常

ふたご

私はあまりセカオワが好きではない。
音楽そのものが合わないのと
彼らの存在に対する拒絶反応がある。
前者は趣味の違いだが
後者は嫉妬なのだと思う。

私にはどん底まで堕ちる勇気もなく
周りを振り回して傷つける覚悟もない。
誰にもふり向かれない程度の擦過傷を
ひとりで抱えてひっそり生きている。

「頑張れたほうがいいに決まっている」
というセリフが次女の現状と重なり
すとんと理解できた。
彼が絶対的な支持を受けているということは
もはや無視できない勢いで
世の中そのものが病んでいるのだと思う。

「私」は見えている著者そのものだった。
たくさんのものを持っているのに生きづらく
世の中とうまく接点を持つことができない。
「君」は好意を抱く異性以上の存在だから
いつも引き裂かれながらも離れられない。

他の人と結婚して出産したということは
彼女のなかで何らかのケリがついたのか
相手が海のように深く理解してくれたのだろう。
このまま平穏な日々が続くことを祈りたい。

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# by camel-40 | 2018-02-19 17:19 | 読書

何も知らないくせに

なぜ急に絵本に手をつけようと思ったのかわからない。
今まで発刊された絵本が時系列で網羅されているサイトを知って
我を忘れてしまったのかもしれない。

これだ、と思った作品をひとつエージェンシーに送った。
「出版社から声がかかったら紹介する」とのことだった。
某出版社に勤める友人に送った。
「絶対に載せてはいけないアイテムがある」とのことだった。
別の友人に他の作品と併せて見てもらった。
暗すぎると思ったトーンは「よくある」と言われた。

子どもらが小さかった頃を思い返す。
私はいわゆる読み聞かせというものをしてやった記憶がない。
だから常に大人目線の想像に過ぎなくて
子どもに教えていけないことも
子どもがどういうものを喜ぶのかも分かっていないのだ。

そんな状況でよくも人に意見を訊けたものだ。
恥ずかしくて死にたいと思った。


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# by camel-40 | 2018-02-17 20:30 | 仕事

あいまい生活

作家の作品を全部読んだわけではないが
根底にあるテーマは「差別」というより「階級」に近い気がする。
キャラクター設定は割とステレオタイプだが
それぞれの特に負の感情はかなり生々しく身に覚えがある。
彼女たちを傷つける人々にも何らかの事情があるはずだが
そちらの説明はほぼゼロなのが一方的な感じがする。
生身の人間に取材したかどうか気になった。



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# by camel-40 | 2018-02-11 21:51 | 読書

あかるく拒食 元気に過食

標題とおりのは詩人が自分のをカミングアウトし
「リターンズ」は娘二人のを語った対談がプラスされる。
もうカバーも付けないし次女からも隠さない。

インタビューは編集なしなので
どこから何を拾えばいいか迷ったが
やはり思い当たることはたくさんある。


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# by camel-40 | 2018-02-03 14:38 | 読書

物欲復活か

昨夏に購入したネックレスが大物すぎて
しばらく大人しくなっていた物欲が復活した。
d0057666_14502470.jpg
レアなラフストーンをリカットに出して紹介するブログで見つけたもの。
展示即売会には輝きだけで引き寄せられる石がたまにある。
例によってサイズが小さすぎて他のコレクションと区別がつかないが
フェアで見つける自信がない(かなり根気がいる)ので
ツーソン前の換金バーゲンでひとまずキープした。

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# by camel-40 | 2018-01-26 23:49 | 買物

へうげもの25

いよいよ最終巻。
織部切腹のシーンは絶対ありえないけど
「こんなふうだったらいいな」と思わされた。
徳川の治世がそれほど無粋だったか知らないが
国民は何のために生きているのか分からない
ただただ”統治”したい誰かとオーバーラップした。


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# by camel-40 | 2018-01-24 18:48 | 読書

棒がいっぽん

『美しき町』に出てくる若夫婦がお社から見下ろす風景に覚えがある。
社会の授業で地図を描く宿題が出たとき一人で登った土手だ。
そこは当時の国鉄の駅を始発とする鉄道をつくっている最中だったが
いつ行っても工事をしている気配がなく
そこらへんに転がった線路のパーツは錆びていた。
きっともう作るのを諦めてしまったのだと大人たちは噂していた。

私はその頃から人と群れることが苦手だったのだと思う。
かといって一人でいるのが好きなわけでもなかったが
その土手に登っているときだけは
その風景を独り占めできてよかったと思っていた。
残念ながら遠近法がメチャクチャな宿題の評価は最悪で
それっきり一人でそこに行くことはなくなった。
鉄道が通ったのは父の転勤で家族揃ってその地を離れ
後に退職間近の父が単身赴任する頃だった。

『私の知ってるあの子のこと』のピアーニは私だ...途中までだけど。
もっと子どものうちにいい子を止めればよかったと今でも思う。


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# by camel-40 | 2018-01-16 00:40 | 読書

転んでから泣く

久々に出版社向けの企画書を書いた。
半年前に説明会用に作ったレジュメに関心が持たれて
改めて詳細なものを依頼された。
年末年始の休みはほぼ潰れたが
読むことも書くことも前より楽しかったので
あまり苦にはならなかった。
そして、これを自分で訳したいという気が
ますます強くなってきた。

実は、仲介に入ったエージェントから連絡がある少し前に
出版助成金の申請に必要な翻訳を進めていた。
原則はレジュメを作った人が翻訳まで引き受けることになっているが
出版社側から別の人を指定される可能性が高い。
たいていは助成金なしで出版することは難しい現状なので
誰かに取られる前に確保してしまいたかったのだ。

でも、四半期ごとに募集期間が決まっている個人とは別に
随時法人が企画を出してもらえる助成金もある。
前者は定期的に書名と翻訳者が公示されるが
後者は非公開で行われるので
そちらが優先されると申請した意味がなくなってしまう。

企画書の依頼が来たとき正直に言ってしまおうかと思った。
もしこの企画が採択されたら翻訳者に指名してほしい、と。
でも、そのエージェンシーは出版事業も並行していて
なるべく著名な人に依頼したいと考えていることを知っているので
助成の選考結果を黙って待つことにした。
エージェンシーと助成機関は密接な交流があるが
審査自体は匿名で行われるのだから
どのみち口をきいてもらうことはできない。

出版業界自体が不況だから
海外文学は点数が徹底して絞られる。
けっきょく誰でも知っているような著作しか対象にならず
結果的に新人には回ってこない。
古参を押しのけるほど秀でた才能があれば別だが。

ちょっと手を伸ばせば手に入るもの以上は
欲しがらないように自制して生きてきた。
どうせ手に入らないのに欲しがれば傷つくだけだ。
そして何でもそこそこで満足するよう暗示をかける。

でもどうせ自分の気持ちは騙しきれないのだ。
傷つくならちゃんと転んで思いきり泣こう。
それから次に行こうと決めた。

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# by camel-40 | 2018-01-10 23:36 | 仕事

居酒屋ぼったくり7

ドラマもそうだが
シリーズものは始めてしまうと止まらない。
そろそろもういいかなと思いつつ
「うーん、そうきたか」と読んでしまう。

今回は日本語の言い回しが妙なところと
要の女遍歴にちょっとムカついたが
介護の件は身につまされた。


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# by camel-40 | 2018-01-10 04:48 | 読書

許されなかったこと・許さなかったこと

いま娘たちには彼氏がいる。
彼らとどんなやり取りがあったか、ということも
割とよく話してくれる。
私は結婚前の交際自体が許されなかったので
友達に根回しをして泊まりに行ったりしていたから
よっぽどのこと以外は目をつぶっているが
正直あまり詳しいことは知りたくない。

最近になって気が付いたのは
二人ともよく彼氏に腹を立てていることだ。
どちらも言葉で意思を伝えるのが苦手なので
いわゆる”不機嫌オーラ”を出す。
私が彼氏だったらとっくに逃げ出したくなる八つ当たりを
幸か不幸かどちらの彼氏も
丸ごと受け入れてくれているらしい。

実家でよく言われたのは
「言いたいことがあればはっきり言いなさい。
黙って不機嫌な顔をしているんじゃない」だった。
必ずしも親に不満があるわけではなかったが
何でも親に話せたわけではない
(話したところで理解してもらえない)し
仮に不満があったところで一度拒絶されたものが
なし崩しでOKになることはなかったので
どうすればいいのか分からなかった。
1人部屋が与えられたのは社会人になる直前だったから
家のなかに自分の気持ちに正直でいられる場所はなかった。

いま自分が親になってみて思うのは
気持ちに余裕がないときに
理由の分からない不機嫌はキツい、ということだ。
いったい自分の何が悪かったのだろうかと
あれこれ考える時間も気力もないと
「いい加減にしろ」と一喝したくなる。

私には病弱ながら父がいたから
母にも私にも逃げ道があったが
片親の子どもらには逃げ場がない。
当座の食い扶持には困らなくても
私に仕事を辞めて専業主婦になるという選択肢がないという事実は
ずいぶんと子どもらを追いつめているのかもしれない。

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# by camel-40 | 2018-01-10 04:35 | 家族/日常

子どもを愛せない親からの手紙

日本人は簡単に謝る。
なぜなら謝ればタダで許してもらえる確率が高いからだ。
どんな事情があっても許さない奴は「偏狭」と呼ばれたりする。

私は最大の謝罪は謝罪しないことだと思っている。
存分に子どもに憎ませることが一番の罪滅ぼしなのだ。
連綿と続いた「負の連鎖」があったとしても
わが子の心身に手をあげていい理由にはならない。
復讐されて命をとられる覚悟をすべきなのだ。

当然のことながら
虐待した側からの投書は圧倒的に少ない。
短い投書はフォントを拡大して行間を増やし
なんとか本の体裁を整えた感じだ。
三分の一を読んであとがきと解説に飛んだ。
たぶんそれで十分だと思う。



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# by camel-40 | 2018-01-07 19:17 | 読書

閉経期

「えっ、あのカノコがお母さん?」という単純な興味と
とっくに閉経しているのに更年期っぽい症状が無くならないので
どんなふうに乗り切ったか知りたかった。
アメリカで弁護士かよ...まあ、学者と詩人の子だもんな。
とにかくズンバの出番が多くて
結局それがどういうものか文章から想像しきれず終わってしまった。

一人っ子が両親を亡くす、というのは
たとえ音信不通でもきょうだいがいるのとは違うのだろう。
摂食障害には母親との不和か過干渉が根っこにあるが
著者の場合も例外ではなかったようだ。
カノコのときの「私は好きにさせたのに」云々は
「いやいや子ども巻き込んで(以下省略)」と思ったが
そのフリーダムさは最終的にカノコを救ったのだろうから
私も引き続き好きにさせてもらおうと思った。

親友E元は子ども向けの番組でよく見たが
演劇畑出身ということもあってか
「いや、こんなにニコニコしてるだけの人じゃないだろ」
と思っていた。
そのうち対談集も読んでみよう。

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# by camel-40 | 2017-12-29 22:20 | 読書

金と銀(貫流篇)

そこに落ち着くだろうなという三度目の結婚。
同じ夫に仕えた元妻同士の友情もあり
人形浄瑠璃を絡めての奇抜な売り出し方があり
何かと力になってくれた店を買い取るシーンで次巻に続く。
ひょっとして今は人形の夫は
いつか優れた書き手になるのだろうか。
ものがたりならではの予定調和も和む。

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# by camel-40 | 2017-12-22 16:18 | 読書

ポイズンドーター・ホーリーマザー

各人の思い込みがすれ違って起こる悲劇の書き方は
あいかわらずうまいと思う。
ただ一番の肝になる最後の二作は
話の時系列上それ以外の配列が無理だったのだろうが
最終話の立ち位置をわかりにくくしている気がする。
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# by camel-40 | 2017-12-10 00:58 | 読書

伊藤ふきげん製作所

著者を知った頃は詩人として脚光を浴びていて
まだ長女が抱っこされていたと思う。
刺激的でモラルのかけらもない最近とは違い
かなりセンセーショナルな存在だった。
画もかなり上手い。
私はまだ独身だったが
留学中の前夫にせっせと送った絵手紙を見て
いつかこの情熱は同じ激しさで真逆に向かうだろう思った。

本書を手に取ったのは
親子二代の摂食障害について知りたかったからだ。
今でこそ原因や対処法がある程度まとまっているが
当時すでに最近と同じ域に達していたことに驚く。

著者の人生を身勝手、というのは簡単だ。
実際かつての私もそう思っていた。
でも我が子を「不細工でうっとおしい」と公言できるのは
我が子に対する絶対的な愛情と信頼があるからであり
それらを得るには
自らに対する強烈な自己肯定感が必要なのだと今ならわかる。
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# by camel-40 | 2017-12-08 18:24 | 読書

家族のあしあと

作家の息子を中心にした人気シリーズを読んでいない。
好奇心ひとつを頼りに豪放磊落に生きてきたようでいて
実は元々社会的にも認められるほどポテンシャルが高いあたりが
何となく馬鹿にされたような気になるからかもしれない。

本書はシリーズとは逆方向の先代へ向かっての話だ。
個人的になじみのある地名や仕事が懐かしくもあったし
「僕は何も考えていませーん」的なところは相変わらずだが
とうとうと家族を語るからには
その絆とか不変さを疑ってはいないのだろう
という予想とは真逆の生い立ちだったのは意外だった。

我が家も全員がテーブルに揃うことはめったにないし
揃ったとしても話が続かない。
お互いに触ってはいけないことが増えすぎたからだ。
これからはそのことを
おかしいとか悲しいとか思わずに済むかもしれない。
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# by camel-40 | 2017-12-04 13:29 | 読書

深夜食堂19

登場人物が増えすぎて
常連の顔くらいしか分からなくなっている。
載っている料理を真似することはほとんどないが
読者から募ったという納豆入りの卵焼きをつくってみた。
世話の必要な親や子ごと引き受けようという
奇特な恋人が何人が登場するが
どちらの立場でも私には真似できそうもない。
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# by camel-40 | 2017-12-02 09:56 | 読書

夕焼けの詩65

当初の予定から7ヶ月遅れての発売となった。
著者も高齢で連載も休み休みなのかと想像する。
他の読者もそこらへんは理解していて
気長に待っていたのではないか。

久々に鈴木一家や茶川一家が登場して
本来の設定に戻ったような気がする。
画家になる夢を諦めて地元に戻って教師になり
ひそかに描き溜めた作品が世に出ることなく世を去った友に
ふたたび絵筆をとるエピソードが心に響く。
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# by camel-40 | 2017-12-01 23:03 | 読書

追い打ち

某セミナーに参加するために
生まれて初めて個人の名刺をつくった。
翻訳がメインの収入ではないので「翻訳家」と名乗れず
職場支給の旧姓の名刺に本名を書き添えてごまかしてきたが
サンプルに「翻訳者」という肩書があってホッとした。

ずっと温めていた作品がさらわれたうえに
日本での出版に向けて寄稿されたあとがきの翻訳を
交流のある人が担当したことを知った。
彼女は本当に小さい仕事からおそらくボランティアの雑務まで
一切断ることなく引き受けてきたのだから
そのくらいの恩典はあっても当然だろうと思った。
でも引き受けた理由を「他に空いている人がいなかったから」
と明言されて少なからずショックを受けた。

夏に引き受けた仕事に対して
彼女から修正の要望を受けたことがある。
私なりに思うことがあってそのようにしたのだが
とりまとめの権限は彼女にあったのでそのまま承諾した。
おそらく「他に...」は謙遜しただけだろうが
自分は使えない奴にカウントされたのかもしれないと思うと
まだ癒えない傷が改めて痛む。

いちど負のスパイラルに入ってしまうと
色々なことが思い出される。

最初の作家の先生はメールをしても返事がこなくなった。
私が担当した作品は本国でも絶版になっているが
登場人物と設定を少し変えて別の作品として世に出た。
別の作品の版権が切れてドラマの原作に決まり
訳し直しが必要になったとき指名されることはなかった。

二度目の訳書は出版費用の一部を負担したが
出版と同時に払われるはずの印税が今でも入ってこない。
その出版社から同じ作家の別の作品が出たときも
何の連絡もなかった。

要らない人、という言葉が毎日頭をよぎる。
子どもがお金さえあれば生きていける状況なら
すぐにでも消えてしまいたい。
私が条件付きでしか受け入れられなかったとしても
子どもらを無条件で受け入れねばならない現状を
いつまで続ければいいのか。

とにかく行けるうちにと思い
来日したアーティストの公演には無理しても足を運ぶ。
そして会場で通訳や音楽ライターを見ては
「自分はあそこにいるべき人間だったのに
そうなるための努力をしてこなかった」と思う。

何かに賭ける、ということを
仕事でもプライベートでもしてこなかった。
いつもどこか上の空で予防線を張れば
中途半端な果実しか戻ってこない。
その事実を認めることはできるが
この先どこに向かっていけばいいのか分からない。

趣味で文書の翻訳をしたり動画に字幕をつける。
ネットで公開すると何人閲覧して評価するか気になって仕方がない。
検索で簡単にヒットするはずなのにさして数値が伸びないと
ますます意地になってのめりこむ。
タダでも要らない奴のスパイラルは下方に向かっていく。
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# by camel-40 | 2017-11-20 12:30 | 仕事

ついに半世紀を過ぎたバツ一こぶ二オンナのニッチ(niche)な生活


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