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棒がいっぽん

『美しき町』に出てくる若夫婦がお社から見下ろす風景に覚えがある。
社会の授業で地図を描く宿題が出たとき一人で登った土手だ。
そこは当時の国鉄の駅を始発とする鉄道をつくっている最中だったが
いつ行っても工事をしている気配がなく
そこらへんに転がった線路のパーツは錆びていた。
きっともう作るのを諦めてしまったのだと大人たちは噂していた。

私はその頃から人と群れることが苦手だったのだと思う。
かといって一人でいるのが好きなわけでもなかったが
その土手に登っているときだけは
その風景を独り占めできてよかったと思っていた。
残念ながら遠近法がメチャクチャな宿題の評価は最悪で
それっきり一人でそこに行くことはなくなった。
鉄道が通ったのは父の転勤で家族揃ってその地を離れ
後に退職間近の父が単身赴任する頃だった。

『私の知ってるあの子のこと』のピアーニは私だ...途中までだけど。
もっと子どものうちにいい子を止めればよかったと今でも思う。


by camel-40 | 2018-01-16 00:40 | 読書

バツ一こぶ二が取れつつあるアラカンのニッチ(niche)な生活


by camel-40
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